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あらすじ
僕は、普通の男だ。
去年の年末、2年半付き合った彼女に「あなたとの将来が見えない。」とフラれた傷がまだ癒えていない。趣味は、プラモデル作り。特技は、フラッシュ暗算。そんな普通の男だ。
ただし僕には一つだけ、普通じゃない点がある。
姉が教祖だ。
割とデカ目の新興宗教の開祖だ。
僕は、その教会で働く修道士だ。会計係だ。
「ご祈祷料」と書かれた封筒からお金を取り出して、1日の売上を計算する。
頭を真っ白にして、ただの計算機になる。
余計なことを考えると、いけない言葉が頭に浮かぶ。
「これ、詐欺と同じじゃない?」
そんなハズはない、と思えば思うほど、周りの奴らの薄ら笑いが目に留まる。
僕は知っている。
あれは、人を騙している奴の口だ。弱ってる人から、金を巻き上げる奴の手だ。
僕は、こいつらを許さないと決めた。
なぜなら僕は、普通の男だからだ。
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